犬島精錬所美術館は、犬島に残る銅製錬所の遺構を保存・再生した美術館です。「在るものを活かし、無いものを創る」というコンセプトのもと作られた美術館は既存の煙突やカラミ煉瓦、太陽や地中熱などの自然エネルギーを利用した環境に負荷を与えない三分一博志の建築と、日本の近代化に警鐘をならした三島由紀夫をモチーフにした柳幸典の作品、また植物の力を利用した高度な水質浄化システムを導入しています。「遺産、建築、アート、環境」による循環型社会を意識したプロジェクトといえます。
1909年に地元資本によって建設された犬島製錬所は、煙害対策や原料輸送の利便性から、島に建設されたものの、銅価格の大暴落によってわずか10年で操業を終えました。現在の犬島には銅の製錬過程で発生する鉱滓からなるカラミ煉瓦造りの工場跡や煙突など、かつての大規模な製錬所を彷彿とさせる多くの遺構が良好な形で残されており、日本の産業発展の過程に置いて革新的な役割を果たした遺構として、平成19年度経済産業省による「近代化産業遺産群 33」のうちの「story30」に認定されました。
かつて日本の近代化に貢献し、隆盛を誇ったが、現在はその跡を残すのみとなった犬島製錬所に、日本の近代化に警鐘を鳴らした小説家・三島由紀夫というモチーフを重ね、建築と協働による6つのスペースを作品として展開し、今後の日本のあり方や現代社会について問いかけています。
柳幸典
1959年福岡県生まれ。1992年「直島コンテンポラリー・アート・ミュージアム(当時)」の個展開催以来、瀬戸内海・直島との関係も深く、1995年に「犬島プロジェクト(当時)」を構想。2008年犬島精錬所美術館では建築家とのコラボレーションにより恒久作品を設置。1993年第45回ベニス・ビエンナーレ、アペルト部門受賞。テート・ギャラリーやニューヨーク近代美術館など多くの美術館に作品が収蔵される。代表作の「The World Flag Ant Farm」は1992年にベネッセハウスミュージアム(当時:直島コンテンポラリー・アート・ミュージアム)に収蔵されている。
犬島精錬所美術館の建築は、地形、近代化産業遺産、自然エネルギーを活用することで犬島という環境の絶え間ない自然のサイクルの一部、地球のディティールの一部として変化、成長していく施設であるといえます。
三分一博志
1968年生まれ。東京理科大学理工学部建築学科卒業後、小川晋一アトリエを経て、三分一博志建築設計事務所設立。
2003年吉岡賞/新建築社(エアーハウス)。2003年ar+d award(イギリス/三輪窯, エアーハウス)。2005年Detail Prize 2005, Special Prize(ドイツ/三輪窯)。
2010年日本建築大賞(犬島精錬所美術館)。2011年日本建築学会賞作品賞(犬島精錬所美術館)等受賞。
他代表作にRunning Green Project(山口/2001)、自然体感展望台六甲枝垂れ(兵庫/2010)、瀬戸内海国立公園宮島弥山展望休憩所(広島/2013)など。
犬島精錬所美術館では植物の力を借りた高度な水質浄化システムの導入や、環境調査を行い、犬島の環境に合わせた植栽にするなど自然に配慮した環境づくりを行っています。
犬島チケットセンター内にあるミュージアムショップです。犬島のアート施設の関連書籍やオリジナルグッズ、地元岡山と瀬戸内の特産品も取りそろえています。
美術施設鑑賞チケットをお持ちでない方もご利用いただけますので、どうぞお立ち寄りください。
犬島精錬所美術館の煙突をモチーフにしたキャンバス地のオリジナルトートバッグです。犬島散策のお供にお使いください。
(右)環境との関わり方を提案する犬島精錬所美術館の建築に関する公式ガイドブック。(左)柳幸典の構想やドローイング、各作品のコンセプトなどを紹介する犬島精錬所美術館のアートに関する公式ガイドブック。
犬島の風土と季節を感じていただける犬島チケットセンター内のカフェです。かつて民宿だった建物を三分一博志氏がリノベーションしました。瀬戸内海の波の音を聞きながら、ゆったりとお過ごしください。晴れた日にはカフェの窓から、小豆島や豊島を望めます。
瀬戸内の漁師めしがルーツといわれている郷土料理です。島民の方々が考案したレシピを元に、たこの仕込みから丁寧につくっています。当店のお米は、岡山県産を使用しています。
犬島島民の方が子どものころおやつとして食べていたぜんざいを再現しました。小豆汁の中に、カボチャとそうめんが入っています。
犬島精錬所美術館の建築を目と舌とでお楽しみいただけるカフェです。すぐそばの木々が植わる「みかんの森」では、植物の力を借りた高度な水質浄化システム「B.G.F.」※を使い、一年を通してかんきつ類を栽培しています。当カフェとチケットセンターカフェでは、ともにここで採れる果物を食材として使っています。
※植物の力を借りた高度な水質浄化システム「バイオ・ジオ・フィルター(Bio Geo Filter)」の略称です。
※現在、精錬所カフェは休業中です。
犬島精錬所美術館では、10名以上の団体でご来館の皆様にスムーズにご鑑賞いただくために、事前予約をお願いしております。
(1)バリアフリーについて
施設の特性上、バリアフリー対応になっていない場所がございます。あらかじめご了承ください。
お越しいただく際は可能な限りの入館サポートをいたしますので、施設へ直接ご相談ください。
(2)車椅子等の貸出について
・車いす:2台、貸し出しを行っています。予約はできません。チケットセンターでお申し出ください。
・筆談具:あります。
・多目的トイレ:あります。
・介助犬・盲導犬・聴導犬を同伴してご入館いただくことができます。
・チケットは、犬島「家プロジェクト」、犬島 くらしの植物園との共通チケットです。
・団体鑑賞割引および障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)をお持ちの方への減免はございません。
・ご利用可能なクレジットカードは、AMEX、Diners、JCB、Master、NICOS、VISAです。
お客様の安全確保およびアート作品、建築作品の保護の観点から、ベネッセアートサイト直島の敷地内における事前許可のない無人飛行機(ドローン)の使用は固く禁止させていただきます。
〒704-8153 岡山県岡山市東区犬島327-4
Tel : 086-947-1112
Fax : 086-947-1115
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