直島の子どものための鑑賞プログラム
「ヒミツを一緒にさがそう」レポート

地中美術館では、2021年6月に美術館を貸し切って、直島在住のご家族をお招きし、子どものための企画「ヒミツを一緒にさがそう」を実施しました。今回のブログでは、6月20日(日)のプログラムの様子をお届けいたします。

<「ヒミツを一緒にさがそう」とは?>

2020年に初開催したこのプログラムは、地中美術館の隠れた"わくわく"や"不思議"を見つけ出してもらい、親子で美術館をより楽しんでいただく鑑賞プログラムです。

今回は直島町民の方々に向けた開催となり、閉館中の美術館が舞台です。島の子どもたちがアテンドのスタッフと一緒に美術館の隠れたヒミツを探しました。

この日は、4歳から12歳までのお子さん21名とそのご家族17名、合わせて38名の参加となりました。集合場所の地中美術館チケットセンターでは、早くも待ちきれない様子が見てとれます。

ヒミツをさがそう

「ヒミツを探すってなんだろう?」――アテンドスタッフの問いかけからプログラムが始まりました。「触ってみたり、耳をすましたり、立ち止まってじっと見たりすると、隠れているヒミツが飛び出してきます。そして大事なのは心です。みなさんの心がどきどきする発見が美術館の『ヒミツ』です。今日はたくさんのヒミツをみつけてくださいね」
スタッフからの送り出しの言葉とともに、子どもたちは配られたワークシートと鉛筆を抱え、美術館に向けて出発します。

ヒミツをさがそう

「赤い花と、ピンクの花がある」「池があって、うーん、カエルがいると思う」
「甘い匂いがする」――子どもたちから、たくさんの言葉が飛び出してきました。さっそく道中の地中のお庭でヒミツが見つかったようです!五感を使って鑑賞しながら美術館内へ進みます。

ヒミツをさがそう

子どもたちが探検している間、保護者の皆さんには、地中カフェにて瀬戸内海の風景を楽しんでいただきました。モネの紅茶でティータイムやスタッフと作品鑑賞を行い、和やかな時間が流れていきます。

最後に美術館内のカフェに集合して、見つけたヒミツを教えてもらいました。「今まで見てきた中で、どの場所が一番好きだった?」という問いかけに、すべての場所に手をあげてくれた子も。7歳以上のグループでは、見つけたヒミツを付箋に書いて大きなシートに貼っていきます。同じものも見ていても、それぞれの発見は違っていて、自分だけのヒミツを見つけられたようです。

「近くから見たら色がちがってみえるけど、遠くからみたら絵のようにみえる」
「こするといいにおいのあるものがたくさんあった」
「いろんな大きさの石があった。ざらざらしている」
「絵をよく見ると、ぽこぽこしていて本ものみたいになっている」
「ふわふわあかのはっぱ←これがすき」

地中美術館に来館したことがある方は、どの場所のヒミツかお分かりになったでしょうか?

ヒミツをさがそう

今回のイベントは、島に住む子どもたちと保護者の皆さんにとっても、身近な美術館の新しい顔を発見するきっかけにもなったようです。
最後に参加された保護者の方からのコメントをご紹介します。

「子どもの楽しそうにしている姿を見られるのが良かったです。大人は景色の良い所でお茶を頂けて、めったにできない経験をさせて頂きました。ありがとうございました」
「子どもの目線で興味を引き出し、丁寧に対応していただきました。子どもたちも自分たちが住む直島であらためてアートを身近に感じることができ、とても良い体験となりました」
「とても楽しかったようで、行けなかった作品を見に行こうという話になりました。火曜日以降にまた伺いたいと思います。普段の地中美術館は、会話がなかなか難しいのでスタッフの方となかなか話せなかったのですが、今回いろんな方とコミュニケーションが取れたので親にとっても本当に良い機会でした」

普段はお子さんを連れての鑑賞が難しい方も、美術館を楽しんでいただけたようです。私たちスタッフにとっても、あらためて島の方々と一緒に美術館を味わう嬉しい機会となりました。
地中美術館は、島の方にも親しんでもらえるプログラムをこれからもお届けしていきます。

<お知らせ>
地中美術館では、2021年9月18日(日)~20日(月)の3日間、「ヒミツをさがそう」を開催します。詳しくはこちらをご覧ください。

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